4年の鎌田です。2024年3月6〜8日に第28回一般社団法人情報処理学会シンポジウムインタラクション2024に参加してきたので、参加記をまとめます。

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発表内容

電光掲示板は文字が発光するため視認性に優れたおり、文字に動きを付けることも可能なため注目を集めやすい情報掲示機器である。しかし、一般的に持ち運ぶことができず収納できない。そこで、持ち運びしやすく収納しやすい電光掲示板を開発することでユースケースが広がることが期待されるため、メジャーのようにディスプレイを巻き取って回収できる形の電光掲示板 RolBo を開発した。非使用時にはディスプレイが筐体に格納され,必要な時に引き出して使用する.今回のデモ発表では、RolBo1台につき4本のLEDテープでディスプレイを設計し、2台のRolBoで「YumuLab」という文字を流して展示を行った。RolBo の有用性を検証するために、被験者に使用感をたずねる評価実験を行った。サイズ感や携帯性に関しておおむね良い評価を得たが、文字の視認性に関しては課題が残った。また、LEDテープとコネクタの接続不良が顕著であるため、この点に関しても改善の余地が残っている。

発表では以下のコメントを頂きました.

  • ディスプレイを回収するために必要な機構を駆動させるための押しボタンを組み込むのはどうか。
  • adafruit neopixel など、今回使用していないLEDテープを使用してみるのはどうか。LEDテープとコネクタ部分の接続不良などが安定する可能性が考えられる。
  • フィルム(フレキシブル)基板を用いてRolBoを設計するのはどうか。他のマイコンなどと併用することで、筐体内部にマイコンを内蔵することができるようになると思われる。

これらの意見を基に改善した設計を、今後はProtopediaなどに投稿していこうと考えています。 また、発表を聴講し、以下の発表に興味を持ちました。

PraxinoAIRRscope: 実物体と隣接して動く空中像パラパラ漫画

著者

明石 穏紀,橘 卓見(東大)

感想

  • ゾートロープ(回転のぞき絵)を進化させたアニメーション技法であるプラキシノスコープを題材に、空中像でパラパラ漫画を表現するという考えが面白かった。ゾートロープ等のアニメーション技法が発達して映像の投影が可能なったことからも、空中像ムービーの実現可能性を感じた。
  • 空中像の表現には、再帰性反射材やビームスプリッタ(半分だけ光を透過させる素材)を用いて実装していることを知った。
  • ポスターには、プラキシノスコープで空中像を表現するために必要な条件を求める計算式が載せられているが、話を聞く限り実機を先に制作し、その後条件を求める計算式を導出したらしい。計算を先に行ってから設計したと思っていたため驚かされた。

3DCAD操作支援のための巻き尺を用いたサイズ感提示デバイスの開発

著者

一色 潤,高田 崚介(神戸市立工業高専)

感想               

Blender を使って 3Dプリンターで出力を行う際、想定していた大きさと違うサイズの物が出力されてしまうことが何度もあった。Blender で 7cm と表示された場合、7cm はこれくらいのサイズだろうと脳内変換を行ってすぐに出力してしまうことが原因だと思われる。勿論、実際にどれくらいのサイズが必要なのか、設計書を書いてから Blender で設計するのが確実であるのは間違いない。しかし、前回の設計を基に何度も改良を行うと、前回からどれくらいサイズが変わったのかわからなくなってしまうことが多い。そこで、この研究で開発されたデバイスを用いると、現実世界でどれくらいの大きさなのかすぐに示してくれるため、このミスを事前に防ぎやすくなると思われる。とても良いデバイスだと感じた。